2015年05月




飯田さんのお父さんって、音楽関係の仕事じゃなかったですよね?」
田丸が飯田の父親が作った“曲目リスト”を眺めながら言う。
「全然、関係ないよ。……紙の会社だから」
「そうでしたよね。前に見積りでお世話になったことが……。それにしてもこの資料、凄いですねー」
「うちの両親、とにかく音楽好きなんだよ。ま、嫌いな人はいないと思うけどね。
親父、定年退職してヒマだから」
「いい趣味ですね」
「まあね。しかしお客さまアンケートの“想い出の香り”、どのぐらいの人が書いてくれるかなぁ……。
楽しみだし、何かいいヒントがあるかもしれない」

「飯田さん、生きてるって呼吸することですよね。だったら何かの匂いがするというのは、
生きてるっていうことと同じで……あー、自分でもわからなくなったー」
大野文代がまた鋭いことを言った。恋をするときっと感覚が冴えるのだろう。
「いや、よくわかるよ。息をするの忘れちゃ大変だからね。生きるのは嗅ぐこと、か……。
田丸君、わかった?」
「え!?……なんですか?」
「俺reenex 膠原自生 がせっかくいいこと言ったのに。生きるのは嗅ぐこと、だから“嗅ぐや姫“だって!後付けだけど。
あ、そう言えばコピーライターの土屋耕一さん……亡くなったけれど、素晴らしいコピーだよ」

飯田は携帯を取り出してメモを読んだ。
「“胸につけた香りが、あなたへのお返事です”、“香りは、女の、キャッチフレーズ”、
“都市は香りに渇いています”、“ドアを開けておくには、危険な香りだと思います”
……ほんと、いいよねぇ。とてもじゃないけど書けない」
田丸より先に大野が反応した。
「胸につけた香りが返事……。素敵、大人の雰囲気ですね」
「うちは消臭剤だから、こんなふうに化粧品や香水みたいにはいかないけどね。
……でも田丸君のコピーもいいからなぁ」
「いつもそうやって馬鹿にするんですから」

消臭剤のような雑貨は薬事法の規制対象外だが、クリーン化学では品質表示には細心の注意を払ってきた。
『芳香消臭脱臭剤協議会』が定めた自主基準や“雑貨工業品・品質表示規定“、さらには厚生労働省・
生活衛生課の指導マニュアルなども参考にして、法的にも道徳的にも誤った表現をしないことが、
広告を制作する以前の約束ごとになっている。

一般にひと言で“消臭剤”と言われるが、正式には「空間に芳香を付与するもの」が“芳香剤”で、
「臭気を化学的に除去または緩和するもの」を“消臭剤”と定義されている。

飯田がふとこんな“問題reenex 膠原自生“を口にした。
「不思議だと思わない?目触りでしょう、それに耳触り、肌触り、舌触りがあるのに、鼻触りだけがない」
田丸は何を言い出すんだという顔をしている。
「えぇ、言われてみれば……。考えたこともありませんでした。やっぱり調べたんですか?
眠れなくなっちゃうから」
「よくわかってるね。だけどそっちはよくわからなかった。嗅覚は未開の分野ってことだろうね。
ついでに遺伝子のことだけど……」

そう言って彼はこんな話をした。――人間の遺伝子は二万二千個ほどあって、少しはしょって説明すると、
聴覚の遺伝子が一個、視覚遺伝子が四個、触角が九個で味覚が二十八個、なのに嗅覚遺伝子は約四百個
もある……。これは人類の進化の過程で、匂いを嗅ぎ分ける行為がいかに重要だったかを表していると。

しかし人類の進化はともかくとして、飯田の頭は優しい香りの小谷優香で一杯だった。
今週の金曜日、彼の四十歳の“誕生会”に誘うことになっている。
それに彼女、今はどんな曲がお気に入りなのだろう。

恨んでいるのでしょう、私を。」

満子が部屋に入ってきた。みんな振り返ったが真理子だけは俯いていた。真理子の中からあの男の子のような影がさっきよりはっきりとした形になって現れようとしている。

「おばあさん。」

満子の姿を見た真理子の前にいる吉岡という男が少し躊躇いがちな表情をするが智代はしめたと思った。ここで真理子が変貌したらきっと満子の中に入りやすくなる。真理子は揺れ動いている。今までの経験から考えても不安定な人間を仕留めるのは容易い。目障りな者は始末できる時にしておいた方が良いと智代は思っ緊緻精華た。目の前に居る男やこの子供や瑞希の存在は少し気になるが百合香の娘の杏奈は何故か大丈夫な気がした。あの類稀なる美貌を持っていた百合香の顔を思い出すと腹の中は怒りで満ち溢れそうになるのではあるがこの娘からは何か他の者と違う臭いを感じる。

「心配しないで、私は大丈夫だから。」

満子はとても落ち着いた様子でそう言ったが智代は今にそんな事言っていられなくなるぞと思った。真理子の様子を観察していたら何かが起こ加州健身中心ろうといしている事は明白である。

「分かりました。では、そこに。」

吉岡にそう促されて座った満子の真横に智代は移動した。いつでも満子の中に入れるように。案の定、満子は平静を保とうとしているようには見えるがその手は少し震えている。簡単に中に入れそうだ。智代がにやりと笑うと吉岡の横に座っていた女の子が智代のほうを見て眉を顰めるような顔をした。

 満子は真理子の手を取ろうと手を伸ばしたが真理子は身体をずらしそれを拒否した。智代には真理子の顔が二重三重に揺れて見える。

「恨んでいるのでしょう、私を。真理子、いいえ、それとも紗江子さんなの。」

満子の言葉に智代はおやっと思った。どうしてここに紗江子の名が出てくるんだ。満子も紗江子の亡霊を見ていたのか、それとも智代が満子の中に居る時に感じた事が満子の中に残っているのか。

「私は・・・。」

そう言ったまま口を閉じた真理子の頭の上で男の子の顔をした白い影が笑って何かを言っているように智代には見えた。智代がそれを見ると吉岡の横の女の子も同じ方向に視線を向ける。

「やめて!」

真理子は自分の頭を抑えるように叫んだ。

(やっぱり、こいつの頭ん中にいるんだ。)

智代はそう思った。

昨夜は 当家の者が迷惑をかけた。 お屋形様がお呼びだ。 一緒に来てもらおう」

 どうなるのだろう。 責められるのだろうか。
 でも、 迷惑をかけたということは、 怒っていないのだろうか。
 何にしても 行きたくない。
 怖い。
 鹿の子は 必死に首を横に振った。

「とにかく 来い」
「親方に許しを得ないと、 勝手に行けません」
「我らから話しておく。 軽業師風情(ふぜい)が 断れぬ」
 やおら 朽葉色美麗華領隊の被衣(かづき)を頭からかぶせられ、 強引に腕をつかんで 連れ出された。

 日は山の端にすっかり沈んで、 赤かった空が すみれ色に変わっていた。
 逢魔(おうま)が時。
 人々が 急いで屋根の下に帰る頃合だ。
 高台の屋敷に着くまで、 ひなびた町の通りには もう人影は無かった。


       *      *      *


「気味が悪い」
 御簾(みす)の中からの第一声が それだった。

 低い声だったが、 若い女の声だ。
 御簾の内は暗く、 普通よりも目の詰まった簾(すだれ)は、
 中にいる人物の おぼろげな輪郭しか通さない。

 屋敷の奥まった部屋に 無理やり連れて行かれ、
 勝手にかぶせられた被衣を 今度は勝手に剥ぎ取られ、
 怖気づいて伏せた顔を 居丈高(いたけだか)に上げさせられての一声が それだった。

 鹿の子は むっとした。
 ひどい。 ひどすぎる と思ったが、 声に出す勇気は無い。

 御簾の中にいる人物は ほとんど見えない。
 目の前に座り、 鋭い目で見据える女も 怖い。
 地味な色目の衣装を着ているが、 年のころは 三十を少し過ぎたあたり。
 人を値踏みするような 権高(けんだか)な態度は、 鹿の子たちとは違う世界の住人だ。
 落ち着かないこと はなはだしい。

「娘、 年はいくつだ」
 その女が言った。

「えーと、 十五か 十六…… か…… 十七……」
「少し化粧をすれば、 お屋形様と同じ十八に見えましょう。
 それよりも、 おまえは孤児(みなしご)か。
 自分の年もはっきりしないとは、 間抜けな話だが、 孤児ならば 都合が良い」

 この人たちの都合で なったわけじゃない。
 何を言っているのか 分からない。
 鹿の子は 早く一座に帰りたかった。
 どうにかして 早く帰ろうと思った美麗華領隊ので、 勇気を振り絞って 声に出した。
「助けられませんでした。 力不足で ごめんなさい」

「土岐野(ときの)、 何のことだ」
「千種(ちぐさ)のことでございましょう。 その場に居合わせたとか」
 御簾からの声に 目の前の土岐野という女が答えた。
 谷に落ちた女は 千種というらしい。

「そのようなことは どうでもよい。 確かに使えそうだ。
 まずは 見苦しい身なりを なんとかいたせ。 目障(めざわ)りだ」

 呼びつけておいて 目障りだとは恐れ入った。
 だが、 それよりも
 人が一人死んだというのに、 どうでもよいというのが 頭にきた。
 同じ人間とは思えない。 いや、 同じ人間などではな加州健身中心いのだろう。
 もはや 一刻もその場に居たくはなかった。
「目障りなようですから 帰ります」

「五葉(いつは)」
 鹿の子の言い分を きれいに無視して、 土岐野が 部屋の外に声をかけた。

 二十歳前後の 体格の良い侍女が入って 頭を下げる。
「この娘を湯殿(ゆどの)で洗いたてよ。 千種の代わりじゃ」
「あのう……帰ります」
 何をするのか見当もつかないが、 鹿の子は 誰かの代わりになるなんて 真っ平だった。

近所の100円ショップで万歩計を発DR REBORN投訴見!

いつも行っているのに、まさか100均に万歩計があるなんて…

もっと値段の高いもの、と思っていたので感激!

残り3個も買い占めた。

嬉しくなって、一万歩、体験したくなった。

普段、滅多に歩くことは無いないので、1万歩も歩るけるかしら。

何キロ歩けるのかしら?時間はどのくらい?



 何をするにも形から入る私。

赤いギンガムチェックのブラウスに、白いパンツ、白いスニカー。 

帽子とリュックは黒DR REBORN投訴で引き締めて、万事 OK。

気分はワクワク、遠足気分。

海まで、3、5キロぐらい、歩いてみることに。

いつも車で走り抜ける道も歩いてみると、新しい発見がいっぱい。

しか~し…ハイキング気分で楽しかったのは行く時だけ。

帰りは地獄、ヨロヨロとヨボヨボになって家にたどり着いたらもう死ぬ寸前。

だいたい一万歩、歩くのに休憩しながらだけど1時間50分かかった。

夕方、同い年の従妹が来たから話したら、

「私は、いつも歩いているから、7キロ、一万歩で1時間20分ぐらいやけど、

 アンタにしたら、まあまあやな」 褒めDR REBORN投訴てくれた。



 見た目も、体力も衰えたけれど、

私は、今の今、ここにいる、この、しょぼくれた私が好きだ。

↑このページのトップヘ